中東での出稼ぎCAの備忘録✈

自分の常識は世界の常識ではなかったということに気づかされ、常識を破られる日々

Where is the mother of chicken?

「残暑お見舞い申し上げます」

日本でいうとそんな時期でしょうか。ここ中東カタールでは残暑の兆しもなく真夏灼熱地獄50度真っ只中!!

夜でも35度を超えるときがあり、太陽が出ていないのにも関わらず、摂氏35度です、と機内到着アナウンスをした際の機内のどよめきはハンパないです笑。
砂漠なのに海が近いせいで湿度もアンビリーバボーな位高くて、ドーハに帰ってきた瞬間に、メガネがラーメン食べた後みたいに白く曇ります。拭いても拭いてもずーーと曇っててなにも見えないし、いかんせんかなり滑稽な見た目なので、何も見えなくなるけれどしょうがなくメガネを外します。コンタクトすればいい話ですが、機内はだいぶ乾燥しているし、目の疲労感も大きいので、最近はもっぱらメガネです。他の外国人クルーもほとんどみんなメガネです。90%メガネ率フライトだった時もあります。日系ではメガネ禁止?だとかあまり推奨されてないみたいで、この話を日本人の友達にすると驚かれます。むしろ私達からすると、なぜフライトでコンタクトをしなければならないのか、疑問です笑。コンタクトはフライト先で100%本気で観光する際につけるからです笑。はは、意識の違い…なのかな。

 

さて、今回の記事は我が航空会社の数ある鬼畜フライトの中でも常にトップを走り続け、クルーを苦しみのどん底につきつける、史上最凶ストレスフルフライトの名が高い「ラゴス~西アフリカの脅威ナイジェリア~」をお送りしたいと思います。

 

毎月月末に翌月のスケジュールが一人一人に会社から送られてくるのですが、そこにもし「LOS」の文字があったら、それはもうその翌月の覚悟を決めなければいけません。LOS ANGELSだ~と喜んでいる場合ではないんです、LAGOSのLOSなんです。多くのキャビンクルーがなんとか苦しみから逃れるために、直前にコールシック(病欠の申請)をするので、実際はスタンバイからいきなり呼ばれて避けられない状況で嫌々くるクルーでフライトする場合が多いです。スタンバイ率高すぎるフライトでも有名です笑。(でもたとえコールシックしたとしても次のスタンバイで呼ばれる可能性高いのであまり意味なしw)

 

私も1度だけラゴスフライトに挑んだことがあります。もうそれはそれは…ナイジェリア人の脅威を目の当たりにしました。でも一言最初に言っておくと、基本的にアフリカ人のクルーもお客さんも明るくてフレンドリーで心があったかい人が多くて私はとっても好きなんです。だからナイロビやタンザニアウガンダのフライトをした際は、楽しかった思い出がたくさんあります。

だがしかし、ラゴスだけは他のアフリカのフライトと違うんです。なぜかって?こっちが聞きたいくらいです笑。

とにかく彼らは悪気はないのはわかっているけれど、基本姿勢がアグレッシブ!!態度も言い方も攻撃力MAX。搭乗時間の時点でこのフライト(戦争)絶対負けると静かに察しました笑。

食事のサービスの時間になり、さっそく火花が散り始めました。心を落ち着かせ、いつものフライトのようにお客さんにチキンを提供すると

「Where is the mother of chicken?」

と言い放たれました。母鳥はどこ…と。…これは小鳥…??なのだろうか。

ぽかんとしていると3口ほどで、機内食を食べ終わり、

「Give me next! Another one!!!」と、おかわりをねだられる。

ここは機内…おかわり自由な定食屋ではない!!!と言い聞かせようとしても、意味がないことはわかったので、とりあえず全員サービスして余ったら戻ってくると約束。

でもこの約束、このあとほぼ全員とするとは思いもせず…泣。

 

ドリンクサービスで普通にジュースを注いでいたら、一人のナイジェリア人の女性に

「もっとたくさん注げないの、あんたは?!毎回毎回ちょびちょび注いで…ほんとけち臭いサービスなんだから」

と言い放たれました。(これ、ちなみに誇張せずに完璧な日本語訳です)

他のお客さんも便乗するように、「そうだそうだ、もっとサービスしろーーー!!」

と一致団結して言い迫ってきました。

 

そして、一人の女性のお客さんに紅茶のレモンを頼まれたときに…ついに怒りの限界に達したのです。

「あのさ、レモン一つじゃなくて、もっとくれない?こんなんじゃ足りないんだよね」

 

カッチーーーーーーーーーン!!!!!!怒怒怒

なんだその言い方!どいつもこいつも偉そうに攻撃的な言い方で…もっとエクストラエクストラって!!!オラァァァ!普通にもう一枚レモンくれって言えないの!?!?

ともう私心の中でキレまして…

 

ほらよっと。レモンが10枚ほど入っているプラスチックケースごと彼女のテーブルに投げやりました。無言で笑。

ちなみにクルー人生でお客さんにこんな態度をとったのは最初で最後です(今のところ笑)

そのあとは…ご想像にお任せします笑。

 

といのは冗談で、大きな喧嘩になることはなく、私がもうへとへとに精神的にやられてギャレー(台所)に戻っていくと、他のクルーがすごい心配してくれて、みんな大丈夫!?とハグして慰めてくれたんです。みんな口をそろえて、彼らは決して悪い人たちではないんだけど、ただ本当に言い方と態度がアグレッシブだよね…。日本人からしたら未知の世界だよね…とたくさんフォローしてくれました涙。。。

一人ナイジェリア人で、でも生まれも育ちもパプアニューギニアのクルーがいて、彼女がナイジェリア人や国について私に丁寧に優しく説明してくれて…優しくなだめてくれました。

このフライトで私は何回「文化の違いを理解しなければならない」と自分自身に言い聞かせたか・・・。

特に日本って島国で孤立している分、本当にいろんな国と小さいことから違うことが多くて。日本の常識は世界で通じないことも多くて。そんな文化の違いを楽しむことも、この仕事の醍醐味の一つでもあるのはわかっているけれど、ラゴス線はその許容範囲を超えていました…。

でも本当にそんなアグレッシブ軍団も決してみんな極悪とかではなく、それが生まれ持った血というか、なんというか血統というか。日本が柴犬だったら、ナイジェリアはドーベルマンといえばいいのか笑。

 

着陸前に一人お客さんに会社のメンバー会員になりたいと言われ、登録書とペンを持っていきました。どこのフライトから乗り継ぎしてきたのか聞くと、まさかの日本wwww日本語めちゃめちゃペラペラなロナルドさんwwwwもう日本に住んで10年近くだそうで。。。ホテルでシェフをしているそうで!!!

正直弊社はナイジェリア人を日本に運んでいるのは有名な話で、私勝手にほとんどが六本木のクラブのセキュリティか上野で洋服売りさばいている人たちだと思い込んでました笑。

ロナルドさん、もう完全に日本人化していてその穏やかさ、飛行機内で際立っていたというか浮いてました笑。

 

最後に誤解を招かないように〆させていただくと、私一生ラゴス線やりたくないけれど、ナイジェリア人決して嫌いではないです!!笑

アグレッシブだけどハートウォーミングなのはわかっているし、わざとではなくこれは彼らの文化。Cultural differencesについて深く学び考えさせられた貴重なフライトでした。(前向きなとこだけが取り柄です)